こんにちはナックオーディオ店主 中村 です。
今日はこの仕事をしていて、正直あまり触れたく無い内容について あえて 書かせてもらおうと思います。
恐らく当店に限らず、中古オーディオを扱う同業他社他店様も同じことお考えだと思っています。
大手ショップ様や老舗ショップ様が同じことを言うと問題も多いと思いますので、私のような若手のショップが先頭を切って言うのが良いと思っています。
最近インターネット上に蔓延る「オーディオ買取」について目に余る光景に少し疑問を持ち始めています。
某ネットオークションで売買されているオーディオ機器、オーディオ製品。
もちろん個人売買でオークションサイトを利用するのは、オーディオを楽しむ為の手段の一つとしてとても有効なコミュニティーだと思います。
また、オーディオとは少し違った観点を楽しめる面白さもあると思ます。
また、ショップ等と違い保証の問題、リスクも多いのですが、個人間で安く欲しいモノを手に入れる美徳も味わえるでしょう。
私もたまにですがネットオークションを閲覧することもありますし、中古オーディオ市場にも影響あるマーケット情報がたくさんあります。
その中で「ストア(業者)」として参加しているオークションに「詳細不明」「ジャンク扱い」「¥1売り切りスタート」などなど。。。数多くの疑問があるオーディオ製品が出品されているのをご覧の方も多いと思います。
もちろん販売方法は各業者様の考えあっての事なので構わないのですが、やはりその品物の「仕入方法」に問題があると思っています。
DECCAの名カートリッジ、入手困難なトーンアーム、ビンテージモデルのターンテーブル、何れも「詳細不明」「ジャンク扱い」
メーカーやモデル名が記載されていない製品は素人にはなかなか判断できないのは当然です。
では、どうやってその品々を査定し仕入れてきたモノなのでしょうか?
そのオークションストアの出品物を見ると、他にもビンテージアナログに精通した銘品、貴重な真空管やトランス等が多数「詳細不明」「ジャンク扱い」で出品されています。
その品々は、恐らく40年以上はオーディオに携わってきて大切に使っていたモノ、保管されていたモノだと思います。
そういった品々をネットオークションに「詳細不明」「ジャンク扱い」「¥1売り切りスタート」とはどういうことなのか?
品物の詳細が分からないモノ、機能や特性を確認できないモノをどうやって買取、仕入をしているのでしょうか?
恐らくはオーディオ遺品を適当に言い包めて、まとめて持ち帰ってきたのでしょう。
古物業、リサイクル業の言葉で 「山買い」 と呼ばれる仕入れ方です。
「中古オーディオ」に携わる仕事をしていると「遺品整理」に立ち会うこともあります。
ご不幸に見舞われ、心の整理と共に故人様の身の周りの整理をお考えになる時、どのような形で「遺品整理」を考えれば良いかを相談されるご遺族様もいらっしゃいます。
ご遺族の方は故人様の大切にしてきたオーディオについてはほとんど知識がないのが普通です。
息子様がインターネットなどで簡単に調べてはみても「高価なオーディオ」だったのはだいたいわかるのですが、その詳細まではわからないことがほとんどです。
「オーディオ買取専門店」を名乗るリサイクルショップさん、質屋業者さん、処分業者さん、etc 。。。。
ネットオークションで「投げ売り」するのは構いませんが、仕入れ(査定)はキチンと適正に行っていますか?
詐欺とは言いませんが。。。 もしかしたら、少し質の悪い商売をしてはいませんか?
オーディオはただの消耗家電ではなく、オーナー様と共に時間を過ごしてきた心の相方のような存在です。
全てとは言いませんが、そのオーディオ達はオーナー様の意思をついで後世に残していかなければならないと考えます。
キチンとメンテナンスを施し、再度価値を共有できる方に愛される存在にならなくてはいけません。
もしオーディオの遺品整理をお考えの方がこのブログをお読みなられていたら憶えておいてください。
オーディオの遺品整理、査定等にお悩みの場合はキチンとした 「オーディオ専門店」 にご依頼ご相談してください。
もちろん当店に限らず、親身に事細かに相談に乗っていただける「オーディオ専門店」はたくさん存在します。
価値あるオーディオは、その価値を守らなくてはいけません。
中古オーディオを専門に扱う当店には、その義務があります。
もちろん金銭上の事だけが問題なのではありません。
故人様の愛したオーディオ達を「ジャンク扱い」「投げ売り」するのは報われることではありません。
生前の故人様がこよなく愛したオーディオ達です。
本来は「形見」としてご家族が大事に引き継いでいかれるのが一番の理想であると思っています。
しかし、趣味性が強く、場所や維持の問題が多く、整理を考えられる方がほとんどです。
中には生前の「オーディオ仲間」が面倒を見るといった事もありますが、すべてを一手に引き受ける事も少ないです。
逆に、 お願いする立場になるため謝礼を払う なんて事も聞いたことがあります。
これから訪れる「高齢者社会」に伴い、こういった「オーディオ遺品」が問題やトラブルになるケースも増えていくでしょう。
当店でも数件の遺品に纏わるトラブルの相談を受けたこともあります。
「リサイクル業者に持って行かれたオーディオを取り返すことはできるか?」等々。。。
答えは「No」もしくは「困難」です。
古物商法において一度売買契約が成立した場合、両者の合意なしに解約することはできません。
書面なしの口頭での売買契約においても同じです。
どうしても返却を希望する場合「買い戻す」という形態が通例です。
言葉として言いにくい事も多々あるのですが。。。
「オーディオ遺品」を目当てにインターネット上に蔓延る「オーディオ買取専門店」なる存在がトラブルや問題になっている以上
当店ではこういった「オーディオ遺品」について真剣に考えなくてはいけないと思っています。
お客様と親身になって向き合い、客様と一緒にこういった問題を考えていく場が設けられるよう今後の課題とし、何かしらのサービスを展開する意向です。
ナックオーディオ代表 中村 賢司