こんにちは ナックオーディオ中村です。
先日もこのブログに書きました私の JBL4343 がやっとこさ復活できました。
今日はちょっと時間ができたので当店ストックオフィスで鳴らす為のセッティングをしてみようかと思います。
そしてJBL4343の課題とも言える「位相について」「定位について」いろいろ探ってみます。
まずはこんな感じの配置で設置させます。
LRのスピーカーセンターからの幅は 約190cm ホントならもう少しLRを離したかったのですが、オフィスの狭さもあってリスニングポジションまでの距離が約3m程度と言う事で、これ以上左右の距離を離すと定位が定まりにくいので、泣く泣くLRの距離を詰めた感じです。
欲を言えば、リスニングポジションをあと1m離したい。。。
欲を言えば、背面壁からの距離をあと30cm離したい。。。
設置の足元はこんな感じに。。。
ホントはオーディオボードにTAOCスタンドで行く予定だったのですが、急遽高さを持ち上げる事にしたため、応急的に用意した重量コンクリートブロック、その上に3cm厚のバーチ集合材を2枚合わせました。このバーチ材も重量が結構あるのですが、手でコンコンと叩くと割と響いた為、またまた応急的に5mm厚のラバーシートを挟み込んで反響を緩和させます。
今度時間があるとき、改めて設置を検討します。。。
そして用意したアンプはMcIntosh MC275 オリジナルです。
管はGECのKT88です。
プリアンプは使用せず、PAF製のパッシブアッテネーターを使い、よりMC275の感じを出したいと思います。
スピーカーケーブルは WE 16GA です。
特に優秀なケーブルではありませんが、色付け無くフラットで落ち着きある定位が出せるケーブルですので個人的に気に入って使っています。
過去に4343を鳴らした時にはトランジスタのMC2500シルバーパネルを使っていたのですが、前々からMC275で4343を鳴らしてみたかったので、今回あえて真空管アンプを試します。
この JBL4343
とりあえず接続すれば音は出ますし、一応JBLらしいニュアンスは奏でます。
しかし、この4343をバランス良く鳴らすにはいろいろ試さないといけない事があります。
ちょっと前にこのブログでも書いたのですが、この時代のJBLユニットは位相が現在のホームオーディオ用スピーカーとは解釈がまったく違っており、各ユニット個々に位相が違っていたりします。
そして、その個々のユニットの位相特性を設置環境やメイン音源(個人の基準音源)に合わせて「ちゃんと」鳴るように見直す必要があります。
前記事「JBL 4343 逆位相? ハッキリさせようじゃないか!」
https://nack-audio.com/wordpress/jbl-4343-1
JBL 4343 の話題となると、必ず耳にするのが「まともに鳴ってる4343を聴いた事がない」という話。。
ちょっと言い過ぎだと思いますが、あながちウソではない話なんです。
この4343が販売された当時の状況から始まる話なのですが、以前の記事にも書いた内容になるので今回は割愛させていただきます。
そして4343を突き詰めると、やはりシングルアンプ接続では「無理」という結果にたどり着きます。
そんなの私自身とうに理解していますし、私だけじゃなく多くの方がシングルに限界を感じ、4343のポテンシャルを求めてマルチ接続、バイアンプ接続にたどり着きます。
【JBL 4343(3143)オリジナル回路図】は こちらをご覧ください。(資料として掲載しますね)
今回この4343を設置させるにあたって私なりの課題を考えたんです。
それが「真空管アンプシングル接続で4343をどこまで鳴らせるか?」
とは言ってもやれる事と言えば、ユニットの接続を数パターン行い、どういった接続をすれば「位相」「定位感」が一番落ち着くか?を検証するだけなんですが。
まず、ネットワークがどうなっているのかを簡単にチェックしておきます。
シングル時バイアンプ時の違いも。
ウーファーユニット2231A ミッドバスユニット2121 このユニットは逆相ユニットです。
端子の赤+/黒-で接続し電気が流れればコーンが引っ込むって事です。
私の経験上、やはりJBLらしさを発揮させるにはウーファーユニットは確実に正相で鳴らさなくてはダメです。
特に15インチ(38cm)ウーファーは絶対正相でないと、あの低域の音圧と量感が薄れますので。
逆相でも好まれる方も稀にいますが、低域が整いすぎると言うか、マイルドになる傾向なんですが、JBLの低域にマイルドさを求めること自体が私の好みじゃないだけなんですけどね。。
とりあえず、基本ウーファーを正相接続とした数パターンの接続方法(結線方法)を試してみる事にします。
それぞれの接続の印象や感想はあくまで私個人の見解なので、人によってはまったく違う見解がありますので、これを参考程度と思ってくださいね。
【 パターン1 】
2231Aウーファー正位相接続(赤黒逆)
2121ミッドバス正位相接続(赤黒逆)
アンプ 正位相接続(赤黒順接続)
とりあえず4343らしいニュアンスは一応鳴ります。
低域と中域とのつながりの悪さがかなりあります。
アッテネーターでミッド中心にどう調整しても低域とのつながりがぎこちない感じです。
中域を誇張すればするほど2121の「紙コーン」の安い音に聴こえる。
印象としてはウーファー高域とミッド低域が離れすぎている感じです。
高域~超高域にかけては定位感も良くまとまりがいい印象
【 パターン2 】
2231Aウーファー正位相接続(赤黒逆)
2121ミッドバス正位相接続(赤黒逆)
アンプ 逆位相接続(赤黒逆接続)
ウーファー低域が妙にもたつきます。
ベースラインのモ~モ~鳴る感じはそんなに悪くないが、その分歯切れがとても悪い感じ
低域と中域とのつながりもパターン1同様に良くない
中域~高域2420ドライバーホーンとのつながりはなぜだかとても良く感じる。
しかし、高域~超高域にかけて妙に定位が定まらない。
FiHi感が妙に増し高域~超高域の定位感が散らばってる感じがする。
高域~超高域はやはりアンプの逆接続に向かないかもしれない。
【 パターン3 】
2231Aウーファー逆位相接続(赤黒順接続)
2121ミッドバス正位相接続(赤黒逆)
アンプ 逆位相接続(赤黒逆接続)
低域~中域にかけてのつながりは一番スムースに感じる
音量や音源にもよるが、低域~中域の定位感が一番いい接続かもしれない。
ただ高域~超高域にかけてがパターン2同様に散らばっている。
特に女性ボーカルのライブ音源なんかでは気持ちが悪いくらい高域の定位が定まらない
カメラ(写真)で言えば色合いは出てるが、ピンボケしてるイメージ。
私的にはちと却下
【 パターン4 】
2231Aウーファー正位相接続(赤黒逆)
2121ミッドバス逆位相接続(赤黒順接続)
アンプ 正位相接続(赤黒順接続)
ミッドだけ逆位相となる接続
数パターンの中ではトータル一番まともに鳴ってる感がある
低域~中音域にかけてのつながりに多少距離を感じるが、JBLらしいドンシャリだと言えばそう聴こえなくもない
中音域~高域にかけてもそんなに悪い感じがしないが、アッテネーターで中音域を補正する考えを欲張ると、2121の紙コーンっぽさが出てくるで注意
(YAMAHA NS-10Mの感じと言えばよいか)
【 パターン5 】
2231Aウーファー逆位相接続(赤黒順接続)
2121ミッドバス逆位相接続(赤黒順接続)
アンプ 正位相接続(赤黒順接続)
いわゆる販売時に多くみられるユニット接続にアンプ順接続
一応全体的にはJBL4343らしいニュアンスは鳴ってくれるが、すべての音域のつながりが良くない。
音域全体的に対してモノ申したくなる感じ
特に低域は量感だけは感じるが、ただモ~モ~いってる印象
当時高級スピーカーだった4343を、これで満足している人が多かったのが不思議に思えるくらいです。
他にも数パターン試しましたが、記事にするまでもない論外な結果、無駄な労力です。
以上のパターンを試した結果【パターン3】【パターン4】がまだまともな結果に思えました。
私個人の嗜好で【パターン4】でしばらく鳴らしてみようかと思います。
エッジも張りなおしたばかりですので、時間が経てばもう少し低域~中音域も良い方向に鳴ってくれるんじゃないかとも思えますので。
結果として
やはり4343は位相に特化した外部ネットワークを用いて、バイアンプで鳴らすのが一番いいですねぇ
単純なシングルアンプで内部ネットワークを使うだけでは全然物足りない(補えてない)感じです。
しかし、4343のポテンシャルを引き出せば引き出すほど「モニター」色が濃くなる音色ですので、自宅のリスニングスピーカーとしてはちょっと不向きなのでは? とも、正直少し思ってしまいます。
やはり4343をカッチリ鳴らすにはセッティングや位相、定位、云々もありますが、単純にJBLの音に対して強いこだわりが無いと、ただの聴き疲れスピーカーになってしまう可能性も大きいですねぇ。。
でも、やっぱいいなぁ。 カッコイイです JBLサウンドって。
JBL 4343 をただなんとなく鳴らしているオーナーの方
ユニットのセッティングについて 一度試してみてはいかがですか?