こんにちは ナックオーディオ中村です。
今日はちょっと空き時間があったので 事務所棚に眠っていた Garrard ガラード 401 を引っ張り出してきましたよ。
ガラード401には大きく分けて 前期、中期、後期 の3タイプがあります。
今回のモデルは前期モデルです。
パッと見で一番わかりやすい部分は ストロボ部が本体シャーシにフラットに埋め込まれているのが前期モデルです。
中期モデル以降だと、このアクリル部にメッキ枠が付き、シャーシから浮き出た状態になっています。
プラッターを外すとわかりますが、ストロボ機構自体が前期と中期以降は全く違っています。
他にも前期モデルだけの特徴はたくさんありますが、見た目の一番わかりやすいのはストロボでしょうね。
前オーナー様がビンテージオーディオ専門店にメンテナンスを出したお品だそうですが、どこまでメンテナンスされているのか不明です。
見た感じだと。。。。。。
アイドラーは純正新品に交換されているようですねぇ。
エディカレント・ブレーキディスクも交換されているようです。
配線の取り回しも見直されてます。
メイン配線も交換されていますねぇ。
とりあえずは 簡易に脚を取り付けて 回転させてみます。
入荷時に基本的な動作はできていたので、細かなチェックは後回しにして保管していたのですが。。。
実際稼働させると、なんだろう。。。。
起動が遅い感じです。
ガラード401だったら 33rpm でプラッターが1回転~1回転半 くらいで定速にならないと正常とは言えません。
そして、微弱ですが プラッターにハウリングがあります。
モーター上部が強くハウリングしている場合は モーター~アイドラー関連が疑われますが。今回の症状はプラッター全体に生じているので、恐らくはスピンドルが原因じゃないかと思います。
プラッターを外してアイドラーをチェック 回転もスムースで良好
モーターを回転させても異音も無く良好、指で軽く押さえても力強く回転するので、トルクも十分 良好です。
スピンドルを手で軽く回してみると んん???
軽くだが、少し擦れるような感触がある。
オイルも十分に補充されているように見えるので、恐らくスピンドル内部のスラストパッドに消耗があるのだと思います。
早々にスピンドルを取り外し 分解します。
シャーシとはビス3本だけで固定されていますので、簡単に外すことができます。
Garrardのスピンドルについてですが、301初期~中期にかけてはグリスタイプのスピンドルが使用されており、301後期~401はオイルタイプのスピンドルが使われています。
まぁ、いろいろ細かな点はあるのですが、グリススピンドルについてはここでは割愛いたします。
まず、一番怪しいと思っていた スラストパッドです。
このパッドの上に軸が乗っかって回転します。
中央部分が凹んでおります。
本来は凹みは無く緩い球面状になっています。
このくらいすり減った状態だと、軸部にストレスが掛かる為、いくらオイルを注油しても無駄です。
対する軸部の状態です。
この部分が、上記のスラストパッドの上に設置してか回転します。
やはり、パッドがすり減った設置面で擦れキズが出ています。
とは言っても、軸部の材質は、パッドよりかなり固い材質になっておりますので、深い傷にはならないようになっています。
ようは、パッドは消耗品としてはじめから考えられています。
Garrardの純正パーツを豊富にストックしている 千葉県のサウンドハイツ様に問い合わせると、在庫があるとの事で、速攻で送ってもらいました。
純正品との事なのですが、なにやら材質がちょっと違う感じですねぇ。
送られてきた純正パッドはどうやら真鍮製のようです。
表面は少しボコボコしていますが、設置する中央部さえキレイに面が整っていれば問題ありませんので。
軸部の設置面は #2000のサンドペーパーで軽く研磨し、金属磨きで汚れ落とし程度に磨きあげます。
すると、キズも無く ピカピカの状態に仕上がりです~♪
ガスケットはまだ良い状態なので、パーツクリーナーでキレイに洗い、フタとスピンドルケース本体の設置面は、#1000くらいのサンドペパーで軽く面研しておきます。
この作業をやることで、後のオイル漏れの心配も無くなります。
今回スピンドルメンテに使うオイルは、以前お客様よりいただいた、ガラード専用?? スピンドルオイルを使ってみようかよ思います。
なんでも、ネットオークションなんかで販売されているオイルのようで、使ってみた感じ 結構調子イイらしいので。
結構硬めのオイルで、指で伸ばした感じでは、鉱物系のエンジンオイルに近い感触です。
このガラードのスピンドルオイルについては、オーナー様それぞれに「好み」があるんですよねぇ。
私も過去にいろいろなオイルを試したことがあります。
シリコン系のオイルから、グリス系のオイル、ほか いろいろと。
やはり、エンジンオイルに近い鉱物系オイルが一番安定しているように思います。
4スト用のエンジンオイル、シングル50くらいの硬めのオイルが一番安定してたかなぁ。
そして、軸部はじめ、本体内部からパーツまで、すべてパーツクリーナーでキレイ洗浄し、オイルをいっぱい含ませて組立ます。
くれぐれもゴミや異物が中に混じらないように 細心の注意を払って組み立てます。
もしスピンドル内部に鉄粉も混じっていようものなら、速攻で軸もパッドもダメになってしましますので、注意してください。
逸る気持ちで組み立てて さっそく稼働チェックです。
おおおおおお~~~
ガラード401らしい 力強いトルクで回転します。
ハウリングや異音も無く、スムースです。
起動時から 33rpm で 約1回転と1/4で定速に達します。
ピッチコントロールもほぼ中央で安定しておりますので、アイドラーはじめ、細かなセッティングは整っているようです。
やはり、ビンテージのアナログ機器のメンテナンスって 結果がわかりやすく出るので、楽しいですねぇ。